日米4000本安打のイチローは、偉大なる偏食家・・・
守谷も最近、若干雨模様の天候になって来た。
それでも残暑で寝苦しい暑さだ。
イチロー、ついにやった、日米通算4000本安打。
何がすごいかと言えば、毎年200本のヒットを打っても、
20年間もかかることだ。
昨年の大リーグ200本安打は、2人しかいないから、
いかに難しく、価値のある記録という事になる。
ところが、これに対して、
大リーガーのスターたちから、イチャモンが。
大リーグ通算4256本の安打記録を持つ「ピートローズ」は、
4000本安打を認めないという。
『大リーグの試合は、「試合数」、「移動距離」が違い、「時差」の影響も大きく、
そんな過酷な環境下で達成した4256本で、日米通算とは価値が全然違う。
イチロー選手は、大リーグでは2722安打の59位だ。』。
更に、ミスターヤンキースの同僚、ジーターは、
「4000本安打が、たとえリトル・リーグの記録であれ、
とても難しいことなんだ。」と。
日本のプロ野球は、リトルリーグ並みなのか。
確かに、イチロー本人も認めるように、
記録は、分けて考える必要があるだろう。
しかし、価値は全然違うのか。
「イチロー」と「ピートローズ」、どちらが安打製造機かは、
客観的に評価する必要がある。
ローズがいう、大リーグの過酷な環境である、
「試合数」、「移動距離」、「時差」。
イチローは、大リーグ1年目からエンジン全開の首位打者で、
そのまま10年間200本安打を続けた。
なおかつ4年目には、262本という、
年間最多安打の記録をつくったことは、記憶に新しい。
彼は、過酷な環境など苦にせず殆どフル出場で、
日本時代よりヒットを量産しているのだ。
日米のヒットを、定量的に評価をしてみたい。
日本時代は9年間で1278本の、
年間平均142本になる。
一方、今は、13年間で2722本の、
年間平均209本だ。
試合数も130に対し160と、はるかに大リーグの方が、
量産しやすいのは明白だろう。
更に、定性的評価をすると、
ローズのように、バクチで大リーグから追放されることなく、
野球一筋の努力家。
走功守でチームに貢献している。
特に強肩の守備では、相手チームの得点チャンスを
何度つぶしたことか。
ちなみに、最初から大リーグ入りしていた場合は、
年平均209本として、4600本位になる。
まだまだ肉体の衰えは感じられず、5000本までいきそうだ。
「20年で4000安打は僕の中では遅い」とのイチロー会見は、
そのすごさを如実に物語る。
そんなイチローは、決して天才ではなく、
愚直に自分の「イチロースタイル」を貫いている。
以下が数々の独自なスタイルというより、哲学、美学だ。
1、プロセスと準備を大事にする
小さなことを積み重ねることが、
とんでもないところへ行く唯一の道で、
まず手の届く目標を立て、
ひとつひとつクリアしていけば
最初は手が届かないと思っていた目標にも、
やがて手が届くようになる。
ヒットを打つために単調な練習をいとわず、努力を続ける。
ヤンキースに移籍したとき、ニューヨークの自宅に真っ先に運び込んだのが、
トレーニングマシンだった。
体形、体脂肪、短距離走のタイムが10年変わらず、
腹筋、背筋の目標は1日1万回。
ハイレベルなスピードでプレーするために、
練習で100%自分を作らないと、
打席に立つことは出来ないとし、
試合前に完璧な身体と心の準備はしている。
年齢と共に落ちる体力を維持するには、
絶え間ない努力と鍛錬が必要だと。
2、逆転のポジティブな発想
イチローが打席で待っているのは、
相手投手の失投ではなく、ベストのボールという、逃げない姿勢。
自分が全く予想しない球が来たときに
どう対応するかが大事で、
試合では打ちたい球は来ず、
好きな球を待っていたのでは終わってしまう。
空振り、三振に一喜一憂しない。
もう駄目だと思ったら、次の打席に立てない。
凡打したときでも、その中から次につながるヒントを探し出す。
失敗の中には可能性が含まれており、
スランプに陥ったときこそ飛躍のチャンスと考え、
後退することも一つの進化だとする発想。
ミートするには太いタイプのバットの方が楽だが、
きちんと芯に当てるバッティングをするために、
あえて細いバットを使っている。
3、道具を大事にする
僕はバットを投げることも、
地面に叩きつけることもしない。
バットの木は、この自然の木から手作りで作られている。
グローブも手作りの製品。
自然を大切にし、作ってくれた人の気持ちを考えて、
プロとして道具を大事に扱うのは当然。
4、目標は打率でなくヒット数
打率は、小学校のころから嫌いな割り算でかつ、
一喜一憂するため、モチベーションが左右される。
その点、ヒット数は減ることは無く、モチベーションが保たれる。
5、偏食家
好物は焼き肉と寿司で、好きなものはいくらでも食べ、
毎日ほとんど同じメニュー。
本拠地で試合があるときの朝食は、
奥さんの作ったカレーライスか雑煮で、
手作りのおにぎり持参で球場へ出掛ける。
遠征先では決まったチェーン店の、
シンプルなチーズピザだけを注文する。
苦手なのは野菜。
結婚して偏食はだいぶ改善されたといわれるが、
いまも香りの強い野菜は苦手だ。
インスタントラーメンやスナック菓子は好物で、
夜中にチョコレートパフェを食べることもある。
いつも同じものを同じように食べることで生活のリズムが保てるし、
なにより安心するのだという。
神戸の行きつけの焼き肉店の牛肉を、
わざわざ米国の自宅に取り寄せたこともある。
食に関しては、米国でも自分のスタイルやペースを崩さない。
管理野球で、食事について殊更うるさかった、
菜食家の広岡さん。
偉大なる偏食家のイチロースタイルをどう評価するのだろう。